死産~私のお腹の中で確かに生きた息子の記録⑤

死産~私のお腹の中で確かに生きた息子の記録⑤

妊娠経過②

10週目に入った頃、長男が突然発熱。下痢と嘔吐を繰り返した。受診するとウィルス性の胃腸炎という診断だった。辛そうにしているのがかわいそうだった。元々潔癖気味で普段から菌やウィルスに敏感な私。部屋中消毒をしたり手洗いうがい等徹底して気を付けていたのに2日後私もうつってしまった。当然と言えば当然か。いくら気を付けているとはいえ頻繁に抱っこもするし嘔吐の処理や下痢のおむつも替える。仕事柄どんな点に気をつけるべきかも心得て対処していたつもりだったが、我が子となるとそもそも密着度が仕事とは異なる。妊娠して免疫力が落ちているので病気にかかりやすい状態だし、独身時代に何度かかかっていたときとは比べ物にならないくらい症状も重かった。私がダウンしてからは夫が仕事を休んで2人の看病をしてくれ、とても助かった。夫は1人ピンピンしていたが、その後私たち2人の回復を見届けるかのように私から3日程遅れてうつっていた。妻子孝行な夫。私も感謝の気持ちを込めて手厚く看病した。

お腹にいる赤ちゃんへの影響がないかとても心配だったが、次の健診で問題もなく安心した。妊娠中に病気にかかったのは後にも先にもこの一回きりだった。

妊婦健診は相変わらず順調で特に異常はなかった。毎回先生に「赤ちゃん小さめだね」とは言われていたが、長男の時にもほとんど毎回言われていたので気にもとめていなかった。明らかに異常というような小ささではなかったしエコーも誤差はある。小さいと言われ続けた長男も3000g超えで産まれてきた。

健診で指摘されたことといえば全体を通してこの大きさぐらいで、母子手帳は毎回“異常なし”というスタンプが押されて返ってきた。

妊娠経過③

その後も順調に経過し、お腹もどんどん大きくなってきた。長男を妊娠していた時よりお腹の膨らみ方が早くて大きかった。一度伸びたお腹は伸びやすいのかな~なんて思いながら第2子に会えるのを心待ちにしていた。

性別も判明した。先生はいつも突然発表してくる。私は早く知りたい方なので突然の発表はワクワクする。「男の子だね」と14週に入った頃に発表された。私はとても嬉しかった。元々3人産みたいと思っていて、3人とも男の子が良かった。女の子が苦手というわけではない。職場で毎日かかわる子どもたちは男の子も女の子も等しくかわいい。女の子の良さもとてもよく分かる。でも自分が娘を持つと考えるとそれはまた別の話になる。私はごく普通の家庭で育ったと思う。両親も仲が良いし姉弟もみんな仲が良い。ただ、私は母親とは合わなかった。頻繁に喧嘩をしたりいがみ合ったりするわけではない。簡単にいうとどうかかわれば良いのか分からなかった。何を話せば良いのかも分からなかったし、必要最低限の会話しかなく、世間の“お母さんと仲が良い娘“という存在がどうしても不思議だった。母がどう思っているかは分からない。でも大切にしてくれているのは分かる。多分私は甘えることが下手なので母にも上手に甘えることが出来ずに大きくなってしまったんだと思う。というわけで私は自分がもし娘を産んだ時に母と私のような関係になってしまうことを恐れていた。だから男の子だと判明したときは半分嬉しくて半分ホッとした。

今となっては性別なんてどっちでもいいからただただ元気にさえ生まれてくれたらと心底思う。

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性別が分かった頃のエコー。全身が映って右を向いている様子。

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